2025年/2040年/2055年問題に医療機関・介護事業所・リハビリテーション部門は対応できるか?

日本の医療・介護を取り巻く環境はかなり厳しい・・・。

そんな、話を聞いたことはないだろうか?

日本の医療・介護を取り巻く環境は厳しくなるのは事実であり、環境変化を乗り越えなければ医療機関・介護事業所・リハビリテーション部門は廃業や事業縮小が現実的なものとなる。

それでは、具体的に「何が」厳しくなるのだろうか?

2025年問題
2025年に「団塊の世代」800万人全員が75歳以上の後期高齢者となる。

つまり、2025年は超高齢社会に完全突入する年である。

超高齢社会なることにより次のことが懸念される。

医療費・介護費の増大
社会保険料の増加
高齢経営者による事業継承問題
少子高齢化による医療体制の変化

2000年当初から今日まで行われてきた政府の政策や診療報酬・介護報酬改定は2025年問題の解決を目指して行ってきたものである。

介護保険の創設
地域包括ケアシステムの導入
医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等の医療従事者の増加
高齢者向け住まいの推進
在宅復帰/在宅療養/在宅看取りの推進
医療・介護サービスのアウトカム志向

今日、リハビリテーションが社会における重要なインフラとして機能しているので2025年問題の存在が大きかったと言える。

同時に、リハビリテーション分野や急拡大をしたため、リハビリテーション職種の人材育成、診療報酬・介護報酬におけるアウトカムの達成、売上確保などの課題が山積である。

2040年問題
1970年代に生まれた団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となることで起きる問題である。

団塊ジュニアは800万人を超える人口である。

2025年から続いた高齢者の増加は2040年ピークを迎える。

そのため、2040年以降は次のような問題が生じる。

現役世代の労働者が急減し、介護、医療、保育、運送の分野で著しい人手不足となる
高齢者の死亡者数が増えてくるため、終末期におけるリハビリテーション職種の役割が増す
地域によっては高齢者が急減するため、医療・介護事業の継続が困難となる
公共施設・水道管・電柱・道路・橋などの老朽化が進む

特に、2040年以降は高齢者が減少していくため、地域によっては医療・介護事業は深刻な影響を受ける。

2025年問題の解決のために、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の増加させてきたが、2040年以降は本格名的な人余りの状況になる可能性がある。

2055年問題
日本の総人口が9000万人を下回り、高齢者率が40%になる。

現役の労働者1.3人で高齢者1人を支える状況となる。

そのため、社会保障費のひっ迫は確実で、医療・介護はより中・重度者向けの取り組みが強化され、軽症者の医療・介護はコストカットが行われると考えられる。

また、2055年には人工知能(AI)が進化しており、遠隔医療とセットでAIによる診察・診断が行われるだろう。

また、医療・介護の中・重度者へのシフトにより、リハビリテーション職種の終末期リハビリテーションの重要性が増す。

地域包括ケアシステムにより2025年問題に対しては一定の成果が出たと言える。

今後は、リハビリテーション職種は2040年/2055年問題を意識し、キャリアの在り方や人生の方向性を考える必要性があるだろう。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授