PT・OT・ST管理職あるある 一生懸命仕事をするけど、部下が成長しない件

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の管理職は総じてまじめな人が多い。

そのため、管理職を拝命すると一生懸命に組織のために働く。

毎日、忙しく仕事をしている管理職が大多数である。

しかし、そこに落とし穴がある。

「忙しくする」ことが管理職の仕事ではないということである。

管理職の仕事は「他人を通じて成果を出す」ことである。

つまり、「自分が動いて成果を出す」ことは管理職として不適格と言える。

「自分が動いて成果を出す」ことはたやすい。

しかし、この働き方は長続きしない。

なぜならば、「自分が動く」ことはいつか疲弊するため、持続可能な働き方ではないからである。

管理職の仕事は「組織や事業所の理念、ビジョン、課題を的確に把握し、経営目標の達成のために自分の部下に仕事を与え、その仕事を遂行させること」である。

しかし、部下とのコミュニケーションがうまくできない管理職は、部下に仕事を与えることが苦手なため、すべての仕事を自分で引き受ける。

そのため、周りから仕事をしているようには見えるが、部下の成長が見られないという現象を引き起こす。

部下が成長しないものだから、より仕事を与えにくくなり、さらに管理職が仕事を引き受けることになる。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士で管理職を拝命する人は、平素からまじめに業務を行っている人が多い。

そのため、自分を忙しくすることがある意味、得意な人が多い。

しかし、この特性が管理職として不適切な行動を生んでしまう原因でもある。

管理職の方は、まず、自分が仕事をするのではなく、部下に仕事を与えることを第一に考えて管理職の責務を全うしてほしい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

上司が仕事に対して他人事である件

皆さんの職場にはいないだろうか?

何を考えているかわからない上司
相談ごとに対して曖昧な返事しかしない上司
何も決められない上司
部下を叱ることも褒めることもできない上司

このような上司の下では組織の発展は難しい。

なぜならば、組織の方向性を示すこともなければ、組織を牽引する行動もしない上司はリーダーの役割を全く果たしていないからだ。

このような上司は、組織内で起こる事柄は自分にとっては他人事であり、自分事として捉えていない傾向が強い。

そのため、表面的には管理職として組織の仕事をしているが、その仕事は自分には関係のない事柄なので、責任を取ることや、高い熱量をもって仕事に取り組むことはない。

このような上司の下では組織の課題が解決しない、決定したことが進まない、真面目に働いている人が評価されないなどの状況が生じ、部下に強いストレスが生じる。

では、このような上司に対して組織はどのように向き合えばよいのだろうか?

組織に対して当事者意識のなく、他人事な人は、自分自身の価値観やアイデンティティと仕事内容の不一致が生じていると言える。

このような人に、「当事者意識を持ってください」と言っても意味はなく、その人がどのような価値観やアイデンティティを感じながら仕事をしているのかを聞き出すことが重要である。

その上で、組織は現在の仕事内容がその人の考える価値観やアイデンティティと一部でも一致するのか否かを考える。

もし、一致する部分があれば、現在の仕事内容とその人の価値観やアイデンティティを満たすものであり、それはその人にとって自分事であることを伝えることが重要である。

つまり、組織側のキャリアデザインの支援が必要ということである。

管理職研修の重要性はよく言われるが、管理職のキャリアデザインについての取り組みは乏しい組織が多い。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

 

新型コロナウイルスが医療機関・介護事業所に与えた悪影響

2020年2月より始まった日本にほける新型コロナウイルスの蔓延は日本社会に大きな悪影響を与えている。

医療や介護の現場においても負の影響が連日報道されている。

報道されている内容はほとんど新型コロナウイルス感染患者に対する医療や介護サービスの対応への負担や病床ひっ迫などである。

しかし、現実的には新型コロナウイルスによる医療機関や介護事業所への負の影響は様々な形で表れている。

ここでは新型コロナウイルスがもたらした負の影響をいくつか紹介したい。

1)入院中の患者の様子がわからないため、家族が在宅復帰後のイメージを掴みずらい
多くの医療機関では患者が外部の人と接触することが禁じられ、面会謝絶の状態が長期間に渡り続いている。
そのため、家族が患者の状態を知ることができない。
これにより、
どれぐらいのADLの状態なのか?
どれぐらい意思疎通ができるのか?
患者の希望はどのようなものなのか?
などが把握できないまま、在宅復帰の準備が進められ、家族が困惑すると言う事例が多く認められる。
自宅に帰った時に病院スタッフから聞いていた患者の状態と異なることが多すぎて数日で在宅療養生活を諦めた事例も散見する。

2)外出自粛を過度に行ったため、内科疾患の悪化や廃用症候群が進んだ患者が増えた
高齢者の外出自粛は感染拡大の予防効果があるとは思われるが、患者の内科系疾患が増悪した事例が多く報告されている。
・デイサービスの利用をやめたことにより、認知症や歩行困難が悪化した
・病院への定期受診を延期したため、薬がなくなってしまい糖尿病が悪化した
・楽しみにしていた友達との買い物を行わなくなったため、うつ症状が進んだ
これらの事例は氷山の一角であり、外出自粛は健康面、経済面など多岐にわたる分野に大きな負の影響を与えた。

3)患者や家族から心無い言葉を言われスタッフが傷ついた
新型コロナウイルスに対する関心が高まると、高齢者や患者から医療従事者に対して差別的な発言が生じるようになった。
・訪問リハビリのスタッフに対して「他の家からウイルスをもってこないでくださいよ」と言われた
・コロナ患者を診ている医療従事者としてその人に「できるだけ近寄らないください」と言われた。
・SNSに「あの理学療法士、作業療法士はコロナにかかっているらしい」と書き込まれた

4)ワクチンを打っていない人に対する差別的な発言
新型コロナウイルスワクチンは法定接種ではなく、任意接種である。それにもかかわらず、ワクチンを打っていない人に対して差別的な言葉を投げかける人がいる。
・医療従事者なのにワクチンを打っていないのは非常識な人間だ
・ワクチンを打たないならうちの家に来ないでほしい
多くの人がワクチンを打っているため集団心理が働き、ワクチンを打っていない人を排他的に扱うことにより生じる現象である。

5)外出自粛のため外来や通所系サービスの利用者が減ることで経営者の心無い言動が増えた
新型コロナウイルスにより外来系医療機関、通所系介護事業所は利用者減少の影響を受けて経営的に厳しい状況になった。経営者は厳しい状況になると経営を守ることが第一となるため、その人の人間性が現れやすい。そのため、経営者より心無い言動が見られた。
・話し合いなどなしに突然のシフト調整・雇用調整が行われ、給料が一方的に減らされた
・パフォーマンスの低い職員を対象として肩たたきが行われた
・日頃、経営者はマーケティングに力を入れていないくせに、利用者が減ったの現場のサービスの質が悪いからだとわめかれた
・経費削減として本人の意思とは無関係に契約外の様々な仕事をさせようとする

新型コロナウイルスに対する政府の対応には賛否両論はある。

しかし、それとは別に新型コロナウイルスに対して人々が冷静に対応できたかどうかには疑問がある。

新型コロナウイルスが間接的に生み出す社会への悪影響を緩和する知恵を国民は生み出さなければならない。

また、差別やパワハラは新型コロナウイルスが生み出したものではなく、人間が生み出したものである。

差別やパワハラ防止への取り組みも一層必要であることが改めて浮き彫りになった。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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PT・OT・STのキャリアデザイン 究極の質問をしてみよう

不透明な世の中において自身のキャリアデザインに悩んでいるPT・OT・STは多い。

特に、2010年以降のPT・OT・ST量産型社会においては、その資格の価値の低下も激しく、金銭的な報酬や社会的立場は厳しくなる状況が続いている。

そのため、5年後、10年後の未来を描くことは容易ではない。

このような状況ではPT・OT・STはどのような心構えでキャリアデザインに臨めばよいのだろうか?

キャリアデザインに最も必要な要素は「主体性」である。

つまり、主体的になりたい自分を設定することがキャリアデザインの根幹である。

実はこの「主体的になりたい自分を設定すること」が最も難しい。

皆さん自身も経験はないだろうか?

自分のやりたいことがわからない
セラピストとして目標がない
毎日、同じことの繰り返しでやりがいを感じない

このようなことを感じている時は主体性を失っている時である。

それでは、「主体的になりたい自分を設定すること」はどのようにすれば可能であるか?

その一つの方法として「どのようになれば自分は幸せであるか?」と問いかけることである。

できる、できないは別としてどんな状況になれば自分は幸せになれるのかについて正直に考えることが重要である。

人は忙しい日々を過ごすと「幸せ」について真剣に考えることは少ない。

あなたにとって幸せとはどんなものだろうか?

一度、幸せについて考えてみてください。

キャリアデザインの大きなヒントが見えるかもしれません。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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認定理学療法士(管理・運営)
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

リハビリテーション事業の経営資源はセラピストの技術と知識です

リハビリテーションサービスが社会に浸透してから久しい。

また、医療機関や介護事業所におけるリハビリテーションサービスは会社の売り上げを支える重要な役割を担っている。

そのため、経営者の中には売上至上主義が強く、とにかく、リハビリテーションサービスを量的に増加させることをセラピストに要求する人もいる。

リハビリテーションサービスの増量=売り上げの増加

という発想に縛られていると言っていい。

しかし、これは中長期的な視点で考えたときに効果的な手法と言えるのだろうか?

リハビリテーションサービスの増量には副作用を伴う。

それは、リハビリテーションサービスのみを思考停止でひたすらに提供するだけのセラピスト集団が形成される可能性が高いことである。

業務量が過多になれば、当然、リハビリテーション技術を向上させるための時間や体力はなく、日々、「ひたすらに働くだけの習慣」が形成されるのは当たり前である。

よって、質の悪いリハビリテーションサービスが形成され、セラピストは疲弊し、離職が止まらなくなり、さらには患者のクレームや医療過誤などが生じ、地域や患者からの信頼を失う。

リハビリテーションサービスの増量=売り上げの増加

という発想になっている経営者や管理者は決定的に欠如している視点がある。

それは、「リハビリテーション事業の経営資源はセラピストの技術と知識」という視点である。

経営資源であるセラピストの技術と知識の質が高いものになれば、患者や家族などのステークホルダーが最良のサービスを受けることになり、効果的なマーケティングが展開されることになる。

その結果、リハビリテーションサービスに対する需要が高まることになり、売り上げの向上が見込まれることになる。

あなたのリハビリテーション部門は
リハビリの量を重視していますか?
それとも
リハビリの質を重視していますか?

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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