PT・OT・STのキャリア 挑戦の先にある挫折 挫折の先にある成長

キャリアを順当に発展させている理学療法士・作業療法士・言語聴覚士と話をしていると、意外なことを聞くことが多い。

それは、一様に「挫折」を経験していることである。

「挫折」とは、物事がうまくいかなくなり、途方に暮れて精神的に追い詰められる経験である。

「挫折」は意味だけを捉えると、ネガティブな言葉に聞こえるが、「挫折」が人のキャリアにもたらす効用があることがわかってきている。

それは「挫折」が人の成長を著しく促すというものである。

これは心的外傷後成長と言われており、人は悲惨な経験や逆境に陥ることで
他者との関係
新しい自分の可能性
人間としての強さ
生きていることへの感謝
を感じるようになり、急激に仕事や人生への向き合い方が変わり人間的成長を成し遂げると言われている。

キャリアの発展に成功している理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は一見順風満帆な人生を送っている思われがちであるが、実際は「挫折」を幾度も経験しており、その度に這い上がり、急激に成長に遂げていることが多い。

逆を言えば「挫折」を経験していない人は成長することすら難しいともいえる。

では、なぜ「挫折」を経験している人としてない人がいるのだろうか?

それは「挑戦」をしていないからである。

「挑戦」は成功も生むが挫折も生む。

そして、先述したとおり「挫折」は人の成長すら促す。

つまり、「挑戦」をしていない理学療法士・作業療法士・言語聴覚士には成長が難しいと言える。

若い理学療法士・作業療法士・言語聴覚士はどんどん「挑戦」してほしい。

「挑戦」には「挫折」も伴うだろう。

しかし、「挫折」を経験しないとわからないこともある。

「挫折」に向き合うこともキャリアデザインである。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

若い頃は年上から見込まれる生き方、中年以降は年下から尊敬される生き方をしよう

株式会社Work Shift 代表取締役の高木です。

最近は、YoutubeやSNSの情報発信に力を入れており、ブログの更新頻度が少なくなっており、反省をしております。

今後、再起動してまいりますのでよろしくお願いいたします。

今日は、セラピストのキャリアデザインについてお話をしたいと思います。

キャリアデザインを発展させていく要因の一つに「発達的人間関係」というものがあります。

簡単に説明すると、「キャリアデザインの発展を促進する良質な人間関係」と言えます。

逆を言えば、「キャリアデザインの発展を阻害する悪質な人間関係」も存在すると言えます。

みなさんは「この人に出会って人生が変わった」「あの人と出会わなければ今の私はない」という出会いはなかったでしょうか?

私も中学から現在まで多くの人と出会ってきました。

今までにも人生を変えるほどの大きな出会いがあり、また、現在は、素晴らしい仲間と人間関係を継続できています。

リハビリ職種のキャリアデザインでは技術や知識を向上させる、学位や資格を習得する、論文や学会発表を行うと考えがちですが、これらだけではキャリアデザインが発展することは難しいです。

なぜならば、人のキャリアは人間関係の中では育まれるからです。

その中でも
「若い頃は年上から見込まれる生き方」
「中年以降は年下から尊敬される生き方をしよう」
はキャリアデザインにおいて重要な視点です。

キャリアデザインの発展に欠かせないのは「周囲からチャンスを与えられること」です。

自分の信念や価値観を仕事を通じて実現するためには、何らかの仕事や出来事が目の前にくる必要があります。

その仕事のすべてを自分自身で用意できればいいのですが、そのようなことはほぼ不可能です。

若い頃は仕事は年上の人から提供されることが多く、また、中年以降の場合は年上の方は引退をしているため、中年以降の場合は年下から仕事を提供される必要があります。

そのためには、
「若い頃は年上から見込まれる生き方」
「中年以降は年下から尊敬される生き方をしよう」
が重要となります。

つまり、年齢に応じて人間関係のマネジメントが必要であり、そのマネジメントを怠ると「発達的人間関係」を構築できない状況の陥り、キャリアデザインの発展が見込めない状況になります。

若いころに年上から評価されない、嫌われる
中年以降に年下から尊敬されない、慕われない
という生き方はキャリアデザインには好ましくないと言えるでしょう。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
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認定理学療法士(管理・運営)
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

ノーコンセプトでどんな利用者でも取る通所介護・通所リハ・訪問看護・訪問リハ・老健の未来は暗い

2021年度介護報酬改定は介護保険事業所の役割をより一層明確にするものであった。

役割の明確化は2024年度診療報酬・介護報酬同時改定でも加速する。

特に、通所介護・通所リハ・訪問看護・訪問リハ・老健は新規の運営基準や加算の要件をみれば、どのような利用者に対してサービスをするべきか?について明らかに政策誘導されている。

しかし、現実的には「利用者を絞る=ターゲッティング」することで利用者を集客しようとする介護保険事業所は少ない。

どんな利用者でも集めてこい!
どんな状態の人でも対応するのが医療や介護の専門家の勤めだ!
うちには看護師とセラピストがいるから大丈夫だ!
という感覚で利用者を集めている事業所は意外に多い。

ターゲッティングとは
勝負する市場=顧客を選択することである。
顧客にはさまざまな層があり顧客のすべてを事業の対象にするのは不可能である。

なぜ、顧客のすべてを事業の対象にすることができないのだろうか?

答えは簡単である。

すべての顧客が要求するサービス水準を提供するためには莫大な時間と費用が掛かるからである。

このようなことを言うと「実際に様々な利用者を受け入れている事業所があるじゃないか!」という声が聞こえてくる。

確かに、その通りである。

しかし、それは「すべての顧客が要求するサービス水準」を無視する形で行われているのである。

よって、そのような事業所は
看護・介護・リハの質が低い
加算取得率が低い
イノベーティブな取り組みができない
毎日が流れ作業のようにサービスを提供している
という状況になることが多い。

このような状況にならないためには自社のサービスや人材の特徴を理解し、自社のサービスを高く評価してくれる顧客層を選択することが重要である。

もし、自社のサービスや人材が経営者や管理者が目指すスペックと異なるのであれば早急にサービス、採用、教育の見直しを行い、ターゲッティングが行える状況にするべきである。

ターゲッティングを疎かにすればするほど、介護報酬改定の負荷は大きくなってくる。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

医療・介護事業あるある 「経営者目線で仕事をしてほしい」は完全に逆効果である件

経営者と従業員では組織に所属している理由が根本的に異なる。

経営者は会社を大きくすることで利益を向上させ、自らの所得を高めていくことが目的である。

すなわち、経営者にとっては会社をより良くすることが、自分をより良くすることにつながる。

経営者は会社の利益があがれば、経営者の所得は大幅に上げることが可能である。

たとえ、税金対策で所得を上げなくとも、会社の経費をより使うことができる。

そのため、経営者は会社への思い入れが強い。

一方で従業員はどうだろうか?

従業員にとって最も重要なのは自らの生活を守ることである。

そのため、「安定をした給与を獲得すること」が重要となる。

誤解を恐れずに言えば、安定をした給与をもらうことがさえできれば、必ずしも今の職場にこだわる理由があまりないということである。

また、経営者と従業員の決定的な違いは会社の利益の増加による所得の向上の幅が同じではないことである。

しかし、これは致し方がないことである。

そもそも、経営者と従業員では背負っているリスクが違いすぎる。

経営者は財務的なリスクを背負いながら企業経営をしているから当然、従業員より所得が高くなる。

しかし、経営者が背負っているリスクを理解する従業員は少数派である。

それほど、経営者と従業員が置かれている立場は違うのである(下図)。

図 経営者と従業員の価値観の違い
無断転載不可

経営者と従業員が置かれている立場が違うことを前提とすれば、「経営者目線で働いてほしい」という従業員へのメッセージがどれほど恐ろしいものかわかるだろうか?

「安定した給与を獲得する」ことが目的の従業員にとって、会社の利益が大きく個人の利益に反映する経営者のように会社の利益や問題に感度を高めて仕事をすることは、ストレス以外何物でもない。

つまり、従業員にとって経営者目線という言葉は受け入れがたいものであるということだ。

では、どのようなメッセージを従業員に伝えることが重要だろうか?

それは、従業員一人一人の価値観を満たすことができるような働き方の支援のほかならない。

従業員の価値観を満たすことができる職場になれば、その職場は従業員にとって「なくてはならない職場」となる。

つまり、経営者目線ではなく、従業員目線が重要なのである。

皆さんの組織は経営者目線の指示が多いですか?
それとも、従業員目線の支援が多いですか?

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
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医療機関・介護事業所あるある!人材が足りている時と不足している時で対応が変わる経営者はヤバいから気をつけろ!

医療機関・介護事業所の最も重要な経営資源は「ヒト」であることは間違いない。

医療・介護分野は労働集約型産業であるため、人材の確保と育成は事業そのものの命運を決める。

「ヒト」が大切な医療・介護分野にもかかわらず人材が足りている時と不足している時で対応が変わる経営者には本当によく出会う(下図)。

人が足りている時は、売り上げ至上主義となり現場スタッフに多くの負担を与え、スタッフをロボットのように扱う。

しかし、人材が足りなくなると、現場スタッフにすり寄り、胡麻をする発言が増えてくる。


図 一貫性のなく態度が豹変する経営者

このような経営者は、「ヒト」に対する考え方に一貫性がないと言える。

一貫性は経営者の求心力を保つために必要な要素であるため、一貫性のない経営者は現場スタッフから敬遠され、さらには従業員満足度の低下につながる。

従業員満足度の低下は、現場における生産性の低下や従業員の離職に直結する。

なぜ、このように一貫性のない言動を経営者は取ってしまうのだろうか。

それは、医療・介護事業の人材育成に対する理念が欠如していることが挙げられる。

医療・介護事業で人材育成に関して経営理念が欠如しているのは、医療・介護事業そのものにも理念が欠如していると言っても過言ではない。

医療・介護事業をしている理由が、非常に短絡的で、打算的な可能性がある。

経営者が一貫性の言動をとった場合、その医療機関や介護事業所の未来は決して明るいとは言えない。

このような経営者に出会ったときは「見切りをつけて退職の準備を進める」が現実的だと言える。

世の中に働くところは山とあるのだから・・・

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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