2019年12月16日付介護保険制度の見直しに関する意見(素案)について 今後の介護サービス基盤の整備

介護保険制度の見直しに関する意見(素案)の「今後の介護サービス基盤の整備」を見てみよう。

上段 文書中の文書
下段 高木綾一の分析・解釈

認知症など利用者の状態に応じてそれぞれの役割や機能を果たしながら、また、関係サービスとの連携を強化しながら取り組むことが必要である
⇒特別養護老人ホームの入所条件 要介護度3以上のように、今後は各施設により明確な入所条件が設定される可能性が示唆される。特に老人保健施設は混在した利用者が同一施設で生活をしていることからサービスの分散化があるため、入居対象者の選定が検討される可能性がある。

介護サービス基盤整備については、地域特性を踏まえながら適切に進めていくことが必要である。地方部では人口減少も見据えた効率的な施設・サービス整備が必要である。既存施設の活用が重要であり・・職員の兼務等の在り方について検討が必要である。
⇒地方での施設系は新規設立は許認可が下りることは難しくなる。介護報酬上の人員配置要件も都市部と地方部では異なり、地方特有の介護報酬体系が設定される可能性が高い。

「介護離職ゼロ」に向けて、介護施設の整備を進めるとともに、在宅支援サービスの充実を図り、在宅限界を高めていくことが必要である。
⇒日本国内における労働力不足が今後懸念される。労働力不足の原因として介護離職がある。そのため、在宅支援サービスの拡充を図る。その代表例が小規模多機能型居宅介護や老人保健施設などの活用である。地域の中で利用者がタイミングよく使用できる介護サービスの構築が在宅限界を高めるからである。ショートステイ、お泊りと通いの組み合わせ使用などの規制緩和が検討されると思われる。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

これからの時代は在宅ADLへの知識と経験がセラピストには必須である

2012年度以降の診療報酬改定や介護報酬改定は、在宅復帰を強く推進したものとなっている。

あらゆる病棟機能に在宅復帰要件が課せられ、在宅生活を支援するサービスも拡充している。

そのため、リハビリテーション職種の大半が在宅復帰や在宅生活維持への取り組みが求められる状況になっている。

1970年~2000年初頭までは、疼痛緩和、就労支援などがリハビリテーション職種に求められていたが、近年はその割合は減り、圧倒的に在宅復帰や在宅生活維持への取り組みが増加している。

在宅復帰での問題となる事例として下図のようなものがある。

在宅ADLが上手くできない事例

入院医療機関でのADL動作が改善したが、在宅復帰後、在宅におけるADL動作がうまく出来ないという事例である。

なぜ、在宅におけるADLの改善が難しいのか?

それは、住宅という構造に対して動作を適応させていく必要があるからである

玄関・上がり框・階段・浴室・トイレなどは各家庭で異なる形状をしている。

そのため、動作を遂行するためにはそれぞれの構造物に対して適した身体機能を発揮しなければならない。

理学療法士・作業療法士は動作を科学的な知識を用いて解釈できる数少ない医療専門職である。

在宅復帰や在宅生活維持が求められる地域包括ケアシステムの時代において、在宅ADLが支援できる理学療法士・作業療法士が活躍できる市場は巨大である。

今こそ、改めて在宅ADLに注目をしてはいかがだろうか?

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
問い合わせ先
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年末のご挨拶に変えて2019年を振り返ります

株式会社Work Shift代表取締役の高木綾一です。

2019年最後のブログでは、株式会社Work Shiftの1年を振り返り、年末のご挨拶に代えさせていただけたらと思います。

2019年はセミナー事業とコンサルティング事業において様々な商品をリリースいたしました。

セミナー事業では
在宅リハビリテーションやケアに関するセミナー、足部・肩関節に関する運動器リハビリテーションセミナー、起業に関するセミナー等の新商品を続々とリリースしました。

これも、ひとえにビジネスパートナーであるセミナー講師の先生方のおかげでございます。

また、コンサルティング事業では、老人保健施設、クリニック、有料老人ホーム、訪問看護ステーションのマネジメント体制構築や管理職教育など様々な分野で関わらせていただくことが出来ました。

さらに、2020年4月頃発刊予定である「在宅リハビリテーション」に関する新刊の原稿執筆もビジネスパートナーと進めた年でもございました。

加えて、2019年8月に「Brand Management Service」という医療機関・介護事業所に特化した日本でも数少ないブランディングサービスを提供する組織を立ち上げ、現在、サービスを展開しております。

高木綾一の講演依頼も全国各地より頂き、2019年は北海道、福島県、千葉県、東京都、静岡県、栃木県、長野県、岡山県、福岡県、宮崎県、埼玉県、大阪府にて講演を行い、講演回数は年間200件を超えることが出来ました。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の過剰供給感
リハビリテーション職種のマネジメント能力の課題
リハビリテーション事業の収益性の低下
医師・看護師・介護職・リハビリテーション職種の連携不足
など様々な課題に関する講演依頼が多く、時代の背景を強く感じました。

現在、理学療法士協会、作業療法士協会、言語聴覚士協会、各コンサルティング会社、民間セミナー会社がサービスを拡大し、業界内のレッドオーシャン化が進んでおります。

株式会社Work Shiftとしては、自社の事業を持続可能なものとするため、レッドオーシャンでも戦える企業戦略とブルーオーシャン戦略の二方向性を高めていく必要性を感じております。

2020年はマーケティング戦略を強化して、株式会社Work Shiftの理念の実現に邁進いたします。

引き続き、株式会社Work Shiftをお願いいたします。

2020年が皆様にとって良いお年であることを心より祈念しております。


株式会社Work Shift創業からのビジネスパートナーや仲間との写真
2019年8月 大阪府高槻市のビアガーデンにて撮影

 

 

 

2019年12月16日付介護保険制度の見直しに関する意見(素案)について 介護予防について

介護保険制度の見直しに関する意見(素案)の「介護予防・健康づくりの推進」を見てみよう。

上段 文書中の文書
下段 高木綾一の分析・解釈

機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチではなく、地域づくりなどの本人を取り巻く環境へのアプローチを含めたバランスの取れた取り組みを行うため総合事業の中に「一般介護予防事業」が創設された。
→国は高齢者の活動・参加を促す環境整備に対して問題意識を高く持っている。今後、要支援・要介護者ではなく地域住民全体が集う場所が推進されていく可能性が高い。

「全世代型社会保障」を実現していくためには、高齢者をはじめとする意欲のある方々が社会で役割を持って活躍できるよう、多様な就労・社会参加ができる環境整備を進める ことが 必要 である
→労働力低下を補填するために高齢者の労働を推奨している。定年は延長され、就労そのものが参加としての位置づけになってくる。そのためには、疾患予防や廃用症候群の予防が極めて重要であることから理学療法士・作業療法士・言語聴覚士には予防領域での活躍のフィールドが広がっていくことが示唆される。

以上のように、介護予防は新しいステージに移行している。

一般高齢者の健康増進および就労支援のための疾病予防へに理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のシフトが求められるようになる。

2019年12月16日社会保障審議介護保険部会(第 88 回)の資料

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

2019年12月16日付介護保険制度の見 直しに関する意見(素案)について

令和元年 12 月 16 日に開催された社会保障審議介護保険部会(第 88 回)の資料が発表された(下図)。

ワークシフトのブログではしばらく今回の資料を分析してみる。

冒頭の「はじめに」に今後の医療介護政策のヒントが散りばめられている。

上段 文書中の文書
下段 高木綾一の分析・解釈

介護保険制度を利用する人は制度創設時の3倍に増加
→利用者が増加の一途をたどっており給付抑制をしなければならない未来が近い

2040年に団塊ジュニア世代が65歳以上となり高齢者人口がピークとなる
→2040年以降の高齢者人口減少社会には地域包括ケアシステムとは異なる別の対応が必要である。また、高齢者マーケットが縮小するため医療従事者の雇用問題が顕在化する。

2040年に85歳以上人口が急速に増加する
→85歳以上の増加はこれまでことなるケアやリハビリテーションの展開が必要となる。特に、看取り、重度者ケア、認知症、孤独死防止など課題レベルの高い対応が必要となる。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士には右肩下がりのADLに対するサービスが求められるようになる。

介護保険利用者数の増減は地域格差が強い
→地域別介護保険制度の運用が検討される可能性が高い。また、都会では混合介護の解禁に伴いサービスを提供する業者が急増すると考えられる。リハビリテーションにも多様な混合サービスが導入される。

介護の担い手の減少が著しい
→過剰供給の理学療法士・作業療法士・准看護師の介護福祉士等への資格移管が行われる可能性が高い。介護福祉士の給与が理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の給与を上回る未来が近い。

介護保険制度の新しい取り組み(介護予防・健康増進・共生社会等)
→既存介護保険制度は改革され、要介護度3以上が介護保険対象となることや、総合事業がリハビリテーション専門職の働く場所となる。また、一般高齢者に対する健康増進の仕組み作りが加速し、理学療法協会等の職能団体の対応が加速する。民間の健康増進施設が今よりも市場が広がっていく。
2019年12月16日社会保障審議介護保険部会(第 88 回)の資料

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授