PT・OT・STのキャリアデザインを考える サニー・ハンセンの「統合的人生設計」

従来のキャリア理論は、個人の興味・関心・価値観を最重要視しており、個人の特性が最もキャリアデザインでは重要であると説明している。

しかし、社会環境の激しい変化や価値観の多様性が進む現代社会においては、個人の特性のみを考えたキャリアデザインでは、困難な状況に陥る可能性がある。

そのような背景を踏まえて、1997年にサニー・ハンセンは、「統合的人生設計」という概念を提唱した。

「統合的人生設計」とは、個人・その家族・地域社会・世界のニーズを包括的に考え、キャリアデザインを行っていく考え方である。

統合的人生設計には以下の6つポイントがある。

1)グローバルな視点から仕事を探す
興味・関心・能力・価値観だけでなく、地球規模で必要とされている事柄や課題に興味を示し、それらの解決をどのようにすればできるかについて考えることが重要である。
そのうえで、自身の仕事について考える。

2)自分の人生を「有意義な全体」として位置づける
職業選択では、人生の複数の役割と職業をどのように組み合わせるかについて考えるべきである。
興味や満足だけでなく、人生における様々な要素と組み合わせることが重要である。

3)家族と仕事を結びつける
伝統的な男女の役割は大きく変化しており、今後も女性の社会進出や男性の仕事に対する考え方の多様化は進んでいく。
育児・家事・介護なども夫婦や家族における重要な役割であり、これらのことも考慮したキャリアデザインが重要である。

4)多様性と包括性を重んじる
人種・民族・社会階級・宗教・年齢・性別・身体能力・性的嗜好など自分とは異なる人々で社会は構成されてい。
よって、多様性を重んじる姿勢でキャリアデザインを行っていくことが重要である。

5)内面的な意義や人生の目的を探る
仕事を通じて得られる内面的な意義を見出すことが重要である。
職業選択においては、内面的な意義を感じられるかに焦点を当てる必要がある。

6)個人の転機と組織の改革に対処する
社会環境の激しい変化や終身雇用制の崩壊により、各個人が自身の人生の変化に対処する技術が必要となっている。
キャリア形成においては、自身の人生の変化にも対処できる技術を身に着ける必要がある。 090750 例えば、セラピストが興味を持った事柄について取り組もうとした時に、その事が社会に貢献しないことだったり、家族に迷惑をかける可能性があることがわかったとする。

その場合、社会貢献や家族との調和の視点から、改めて自分のしたいことは本当に必要なことであるかを考えることが重要となる。

興味・関心・価値観だけで、キャリアデザインを行うのではなく、社会や身近な人との融和や貢献について考えることが、これからのキャリアデザインには必要であるとサニー・ハンセンは提唱している。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

セラピストに圧倒的に足りない基本ビジネススキルを高める資格

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士に足りないスキルの一つにビジネススキルがある。

養成校在籍中はリハビリテーションや医学に関する勉強や実習は経験しているが、ビジネスキルに関してはそれほど時間をかけて勉強をしていない人がほとんどである。

また、臨床に出てからも、評価や治療法に関する勉強はするものの、ビジネススキルの習得は二の次というセラピストが多い。

しかし、現在の医療・介護の現場では、カンファレンス、資料作成、申し送り、プレゼンテーションなどの機会も多く、ビジネススキルが不十分であると、業務に支障が生じる状況になっている。

一昔前のセラピストであれば、リハビリテーションの職人として働いていれば良かったが、今はビジネススキルを身に着けた職人でなければ、現場では戦力とみなされない。

ビジネススキルとは、「仕事をするために最低限必要な仕事の技」と言える。

具体的には、以下の3つの要素に分けられる。

・ テクニカルスキル(業務遂行能力):業務を行うために必要な能力

・ ヒューマンスキル(対人関係能力):上司や部下、同僚、クライアントと円滑な関係を構築する

・ コンセプチュアルスキル(概念化能力):物事の本質を見極め、他のメンバーに伝えていく

これらの要素は仕事を通じて高めていくことが基本であるが、学習を効率的に行うために資格の取得も有効である。 3ed201e61f3cc0c743bb444fae1a7418_s 特に、テクニカルスキルに関する資格は多く存在しており、その気になればすぐに学習をすることができる。

以下のような資格がテクニカルスキルに該当する。

ビジネス実務マナー検定
パソコン検定
ビジネス能力検定
Word文書処理技能認定試験
ITコーディネーター MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
ビジネス・キャリア検定
情報検定

これからの時代、文書作成や表計算作成は最低限のスキルである。

また、ITを用いた情報や業務の管理もどんどん発展していく。

今の時代に生きるセラピストはリハビリテーションや医学だけでなく、基本的なビジネススキルも学ぶ必要性が高いと言える。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

2019年10月1日以降における当社セミナー料金は据え置き価格といたします

2019年10月1日より消費税が8%から10%となります。

当社が主催してるセミナーに関する参加費は従来と同じ消費税8%として、残り2%は当社負担といたします。

つまり、セミナー料金は一切値上げせずに対応をいたします。

値段を上げずに質の高いセミナーがご提供できるよう尽力をいたします。

今後とも株式会社Work Shift、在宅リハビリテーション・ケアスクール、Brand Management Service をよろしくお願いします。

株式会社Work Shift
代表取締役 高木綾一

学生に厳しく、同僚にモノを言えない理学療法士の闇

2018年6月29日 産経新聞に「実習中の理学療法士実習生の自殺」に対する実習先クリニックと養成校の責任を認める大阪地裁の判決の記事が掲載された(下図)。

実習中に受けたスーパーバイザーからのパワーハラスメントにより実習生が自殺をした原因が実習先クリニックと養成校にあるとの事実認定がなされた。

この判決は、理学療法士業界にとって由々しき問題であり、理学療法士自らの自浄作用が求められる。 saiban

このようは悲劇が起こった背景には理学療法士独特の気質や文化があると考えられる。

理学療法士は実習生に厳しく、理学療法士の同業者には緩い傾向が強い。

実習生には大変厳しく批評し、指導するのに、理学療法士同士ではお互いの批判や非難をすることを避ける理学療法士が多い。

同業者に対して、甘い態度で接するのは理学療法士自らの保身以外何物でもない。

他人を批判すれば、自分も批判される。 自分へ批判を避けるためには、他人を批判することを避ける。

しかし、自分を批判することのない実習生は批判の対象となる。

これでは、弱い者いじめではないか?

理学療法士の保身の精神は、リハビリテーションの質の向上を妨げているだけでなく、日本のリハビリテーションを支える理学療法士の後輩達にも大きな不利益を与えている。

実習生に対するパワーハラスメントは当然、慎むべき行為である。

一方で、リハビリテーションの質を良くするために、実習生だけでなく、同業者の理学療法士に対しても建設的な議論を展開するべきである。

今回の裁判から理学療法士は大きな教訓を学ぶべきである。

学生にも同業者にもリハビリテーションの質を良くする姿勢で接する。

こんな当たり前のことができない理学療法士は要らない。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

運は100%実力であることをセラピストは知らなければならない

SNSの普及によりセラピストの活躍が手に取るようにわかる時代になった。

沢山の若くして成功しているセラピストが日々、SNSで近況を報告している。

人間は他人の成功を目の当たりにすると、妬みを感じるものである。

「あいつは運が良い」
「あいつは○○先生に目をかけてもらっているだけ」
「あいつは最初の職場でチャンスをもらえただけ」
などの妬み文句を言うセラピストは多い。

しかし、これらの妬み文句はすべて的外れである。

実力がなければ、目の前に運があっても運をつかめない。

実力がなければ、○○先生にも目をかけてもらえない。

実力がなければ、職場でチャンスすらもらえない。

要するに、成功する人間は実力があるということである。

実力があればあるほど、社会にはその人が活躍できる機会を与える。

つまり、「活躍できる機会の発生頻度が高い=運がある」ということである。

まさに、運は実力のうちである。

セラピストとして自分の境遇や運のなさを嘆くのは本末転倒である。

自分の実力が不足していることに嘆くべきである。

他人の成功や成功者を取り囲む環境をうらやましいと思う暇があれば、実力を高める努力を行うべき。

セラピスト過剰供給時代に生き残るためには、ひたすら実力を高めるというシンプルな原則を守ることである。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
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リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
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修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授