PT・OT・STが知っておきたい老化現象と喪失体験

老化には二種類ある。

生理的老化
すべての人に不可逆的に生じる老化

病的老化
疾患により生理的老化が著しく進む老化 老化により、活動性が低下し、その後に生活機能が低下していくことが一般的である。

一方で、認知機能の低下や喪失体験などから精神機能の低下も著明となる。

喪失体験とは
体力や心身機能の低下などによる心身の健康の喪失
子どもの自立や定年、退職、引退、配偶者や友人との死別などによる家族や社会とのつながりの喪失
定年、退職、引退などによる経済的自立の喪失
社会的地位や役割などを終えたり失うことによる生きる目的の喪失
がある。 138009 ただし、上記した老化現象や喪失体験は、個人差が大きく、生活習慣や個人の生理的特徴により大きく個人間で異なる。

また、老化現象は運動や食事によって大きく変わることから、特に病的老化は予防することが可能である。

人間にとって、老化は避けられないものだが、健康寿命の延伸やQOLの維持・向上を視点を持つことで、老年期の状況は大きく変化する。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が、今後、予防領域に携わることは間違いない。

老化について積極的に学ぶことは、予防領域で活躍するために最低限の必要なことである。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

PT・OT・STのニーズを広げる視点

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の職域拡大は重要な課題である。

有資格者がどんどん増えていく未来に向けて、理学療法・作業療法・言語聴覚療法の提供先の顧客や分野を増やしていくことは喫緊の課題となっている。

リハビリテーションは、人が生活をするうえで困っていることに対して支援ができるツールである。

したがって、生活支援のニーズを明らかにしていくことが、職域拡大には有効と言える。

ニーズが明らかにならないパターンは大きく2つのパターンに分けられる。

一つ目が社会的抑圧

二つ目が個人的・家族的抑圧 である

1)社会的圧力が原因となりニーズが顕在化しないケース
・社会に生活支援サービスが十分に認識されていない
・保健・医療・福祉などの専門職間の情報交換が不十分となり、他の分野へのサービスの紹介が行われない
・サービスの供給量が少なすぎて、利用することをためらう心理的な規制

2)個人的・家族的抑圧が原因となりニーズが顕在化しないケース
・ニーズが自覚されているが、個人的あるいは家族の確執などが理由でニーズを表現できない
・家族や個人がニーズを自覚していない

リハビリテーションサービスは今のところ、ほとんどが医療保険・介護保険を用いた保険内サービスである。

その保険内サービスであっても、リハビリテーションの介入が不十分であるケースは多くみられる。

未だに理学療法・作業療法・言語聴覚療法が適切な人に、適正なタイミングで、適切な量が提供されることは難しい。 1100 ましてや、保険外サービスはまだまだ市民権を得ておらず、日本では根付いていない。

しかし、社会的抑圧が改善すれば、個人的・家族的抑圧にも変化が生じ、保険外サービスが社会において一般的なものになっていく可能性は高い。

保険内・保険外で職域拡大に取り組んでいる理学療法士・作業療法士・言語聴覚士もまだ少なく、いたとしてもメディアに取り上げられることも少ない。

まさに、これが社会的抑圧である。

社会的な抑圧を改善していくことから、リハビリテーションの職域拡大は始まる。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

2020年度診療報酬改定で予想されることを箇条書きにしてみた

  1. 急性期の看護配置基準や重症度、医療・看護必要度を細かく分類しすぎたため、病棟基準の違いがあってもほぼ医療行為に変わりなないという矛盾をなくすために、病棟基準の数を少なくすると予想される
  2. 都会には開業医過剰地域が存在しており、地域偏在を抑制するために開業医過剰地域のにおける開業には、在宅医療や介護保険事業などの一定のルールを定める可能性がある
  3. 200床以上の病院の外来抑制が行われる
  4. 地域包括ケア病棟の地域とのかかわりが強化される(在宅受け入れ率向上・在宅医療の提供頻度など)
  5. オンライン診療と在宅医療の組み合わせが促進され、問診と投薬のみの軽症患者への医療費抑制が行われる
  6. 急性期、回復期からの在宅復帰への取り組みの質が評価される
  7. 自院の診療行為を分析し、経営に役立てた場合の診療報酬が認められる可能性がある。特に、人工知能ソフトを用いて日本全国の平均的な医療水準との差異を確認する行為が評価される。
  8. 働き方改革の一環で週3・24時間以上の勤務者の合算の非常勤の要件が緩和され、短時間労働者の雇用を促進する
  9. 回復期リハビリテーション病棟ⅠのFIM利得がさらに高く設定される。45以上か?

以上、予想されることをすべて書いてみました。
関係者の方はご参考ください。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

整形外科外来リハビリテーションの役割は寝たきり予備群を救うことである

2019年より外来リハビリテーションでは要介護認定者が算定上限日数を超えてリハビリテーションを受けることが禁止され、算定上限日数を超えた場合は、原則、介護保険リハビリテーションに移行することになった。

そのため、外来リハビリテーションを生業の中心としている整形外科クリニックでは、ビジネスモデルの転換が必要とされている。

患者層の若返り
通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションの新設
フィットネスクラブなどの運動サービスの提供
など様々な取り組みを行う整形外科クリニックが増えてきた。

しかし、本来の整形外科クリニックの役割を見失ってはいけない。

来院してくる高齢者の寝たきりの伏線となる関節痛や活動性の低下を防ぐことは整形外科クリニックの重要な役割である。

整形外科クリニックに来院してくる患者の多くが、変形性膝関節症、肩関節周囲炎を罹患している(下図)。


(無断転載禁止)

変形性膝関節症が悪化すると、立ち上がり、歩行能力が低下し、屋外の移動が減少してくる。

また、肩関節周囲炎が悪化すると、掃除、洗濯、調理などが出来なくなり、訪問介護サービスなどを利用するようになる。

すなわち、整形外科疾患は大きく活動性の低下につながる。

活動性の低下は、社会参加への頻度も低下させ、引きこもりや寝たきりを誘因する。

そのため、整形外科クリニックで外来リハビリテーションを担当するセラピストは変形性膝関節症と肩関節周囲炎に対するリハビリテーション技術を高めなければ高齢者の寝たきりを予防することはできないと言っても過言ではない。

整形外科クリニックのは様々なビジネスモデルを模索するだけでなく、本来の役割である「患者様の運動器疾患を治して早く動けるように支援すること」をまずは実現するべきである。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
問い合わせ先
Facebook https://www.facebook.com/Masaki.Fukuyama.PT
メール  big.tree.of.truth@gmail.com
Twitter  https://twitter.com/PT_Fukuyama
Instagram https://www.instagram.com/masaki.fukuyama

 

リハビリテーションの機能をアピールしたいなら理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が主体となったマーケティング活動をしましょう

世の中の医療機関や介護事業所の中には、「リハビリテーションを売りにして、患者や利用者を増やしたい」と考えているところが実に多い。

PT・OT・STが在籍していることを売りにしたい
認知症に取り組んでいることをアピールしたい
運動器リハビリテーションを質の高さで集患したい
などなど・・リハビリテーションに魅力を感じてる経営者や院長は多い。

しかし、大変残念なことがある・・・。

それは、リハビリテーションをアピールしたいにも関わらず、現場の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がマーケティング活動に一切関与していないことである。

リハビリテーションのサービス開発
リハビリテーションの顧客選定
情報発信ツールの作成
オンライン・オフラインの営業活動
などのマーケティング活動をしているセラピストに出会うことは稀である。

これは実に不思議である。

リハビリテーションで飯を食っているセラピストがリハビリテーションのマーケティングをしない・・・・・・

実に不思議である。

つまり、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士はマーケティング活動なしに、医療機関や介護事業所に「ぶら下がる」ことで、お給料をもらうという「超絶ビジネス感覚の欠如した人物」の可能性があるということである。

私たちの仕事は、患者や利用者を確保できて、初めて成立する。

このことを忘れて、臨床だけをしているセラピストは社会人失格と言っても良いだろう。

セラピストの皆さん、マーケティング活動をしよう。

マーケティング活動は組織人として必須の活動ですから。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
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理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
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関西医療大学 客員准教授