リハビリテーション部門管理職の皆さん、部下を守っていますか?

私は起業する前は、大阪府内の大手医療法人にて法人本部長とリハビリテーション部部長として勤務していた。

リハビリテーション部門には多くのセラピストが所属しており、セラピストは医局、看護部、介護部、その他様々な部門との連携業務も沢山担っていた。

そんな状況であれば、当然、他職種と意見が衝突し、軋轢が生じることもしばしばあり、その中には医師よりセラピストが指導されたり、叱責をされることもあった。

しかし、時に度が過ぎる指導、叱責が医師からセラピストに行われることもあった。

所謂、パワハラに近い行為と言える。

このようなことは、他の医療法人でもよく生じているのではないだろうか。

その時、リハビリテーション部門の管理職の皆さんはどのような対応をしているだろうか?

当時、私は部下のセラピストに対するパワハラが生じたとき、医局に突撃し、その医師に対して、「私の部下にパワハラをすることは許さない」と強く抗議した。

先日、そのパワハラを受けていた部下を久しぶりに会った時にこう言われた。

「あの時に、医師に強く抗議をしてくれたことでこの職場で頑張ろうと思いました。部下を守ってくれる上司の下で働けたことを誇りに思っています。」

部下は常に上司の行動を観察している。

上司は組織や部下を守るために動いているだろうか?

上司は自らの身分を守るために保身をしていないだろうか?

貴方の部下が退職を申し出た時にはもう既に遅しである。

「部下を守る」という意識の重要性を今一度認識して欲しい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学 客員准教授

働き方を改革する前に明確な自身のセラピスト像を確立することが100倍大切である

全国各地の医療機関・介護事業所にて働き方改革が叫ばれている。

残業時間を短くする
ダブルワークを行う
育児や介護と仕事を両立する
ITを活用した仕事をする
などの働き方の変革を実践する組織やセラピストが増えている。

しかし、あえて言う。

働き方改革は手段であって、目的ではない。

ほとんどの組織や人が、「働き方を改革すること」だけを目的として行動している。

確かに、働き方を改革するのことはなんとなく「かっこいい」。

しかし、働き方の改革は「かっこいい」から行うのではない。

本当の目的は「あるべきキャリアの実践」である。

どんな自分になりたいのか?
どんなアイデンティティーを確立したいのか?
どんな仕事を実践したいのか?

これらを明確にした結果、「働き方改革」が生じるのである。

あるべきキャリアの実践を不明確なまま、「働き方改革」を実践しても継続した活動にならない。

なぜならば、人間は自分の心から望むこと以外のことを継続することが難しいからだ。

なぜ、ダブルワークをするのか?
なぜ、残業を少なくして早く帰宅するのか?
なぜ、新しい資格を取るために勤務時間を調整するのか?

この「なぜ」を追求しない限り、働き方改革は無意味に終わる。

あなたやあなたの所属する組織は、なぜ、働き方改革をしているのか?

今一度考えてほしい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
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認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学 客員准教授

 

 

 

神秘的なテクニックで新人や学生を煙に巻くイリュージョンセラピストが痛い件

特殊で
斬新で
インパクトのある治療をやたら、学生や新人にご披露するセラピストがいる。

その姿はまさに、引田天功ばりのイリュージョンである。

なんとなく、患者の状態は良くなったが、なぜ良くなったのかよく分からない・・・

そして、説明を何度聞いてもよく分からない・・・

こんなセラピストは周りにいないだろうか?

他人は理解できない技術を展開し自分満足度の高いイリュージョンセラピストは組織では非常にややこしい。

なぜならば、他のセラピストと共通言語を持っていないからだ。

共通言語がなければ当然、連携など不可能である。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、養成校時代に解剖学、運動学、生理学という共通言語を習っている。

それにも関わらず、臨床に出たとたんにイリュージョン化してくる。

しかし、このイリュージョンセラピストは基礎を大切にする基本に忠実系のセラピストに恐怖を感じている(図)。

(無断転載禁止)

基本に忠実系セラピストはどんどん運動学、解剖学、生理学に関する質問をしてくる。

しかし、イリュージョンセラピストは基礎知識を疎かにしているので全く回答でいない・・・。

こんなセラピストになってはいけない。

基礎知識を疎かにしていることがばれたら、取り返しのつかないほどの信頼を失墜する。

どんなにベテランセラピストになっても基礎知識の学び治しが重要である。

イリュージョンセラピストになってはいけない。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 助教

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
問い合わせ先
Facebook https://www.facebook.com/Masaki.Fukuyama.PT
メール  big.tree.of.truth@gmail.com
Twitter  https://twitter.com/PT_Fukuyama
Instagram https://www.instagram.com/masaki.fukuyama

 

通所リハビリテーションに医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がいる意味

2015年度介護報酬改定では、通所リハビリテーションにリハビリテーションマネジメント加算Ⅱや生活行為向上リハビリテーション実施加算が導入された。

この二つの加算は、リハビリテーションの進捗をマネジメントし、具体的な生活行為を獲得することを推進しているものである。

この二つの加算の算定率が向上すれば、通所リハビリテーションの収入は大幅に増加するが、算定要件を満たすための労力は大きい。

当該加算を算定するためには、 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のリハビリテーションの評価・計画立案・実践の能力 医師のリハビリテーションへの関わり が重要である。

言い換えると、通所リハビリテーションにおいて、この二つの要素がうまく機能していなかったと言える。

これら二つの要素は、回復期リハビリテーション病棟と同様の仕組みである。

「多職種が共同によりリハビリテーションプログラムが立案され、医師が責任をもってリハビリテーションを遂行する」という回復期リハビリテーション病棟ではスタンダードな内容が、通所リハビリテーションに導入されたと言える。 117889 通所リハビリテーションでは、回復期リハビリテーション病棟と同様のマネジメントができる人材の育成が急務となっている。

2015年度介護報酬改定は、通所リハビリテーションにおける医師やセラピストに今まで以上の役割を求めてきた。

このことから、厚生労働省の通所リハビリテーションと通所介護の機能的な差別化を明確にしたいという思惑が感じ取れる。

通所介護の機能訓練指導員による機能訓練と通所リハビリテーションの医療専門職が行うリハビリテーションに違いはあるのか?

この命題に答えを出すことが、今の通所リハビリテーションと通所介護には求められている。

2018年度介護報酬改定では、通所リハビリテーションと通所介護の役割がさらに明確化される。

療専門職を配置している通所リハビリテーションは、自らの価値を社会にアピールできるかという真価が問われている。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

PT・OT・STのキャリアデザインに有効な一点突破・全面展開

一点突破・全面展開という言葉がある。

これは古代中国の思想家孫子が、伝えた兵法の一つである。

この兵法は、現代の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のキャリアデザインに有効である。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は自身のキャリアに関して、「何を勉強すれば良いかわからない」と悩んでいる人が多い。

「すべての分野に関して基礎的なことから勉強をやり直すことが良いか?」、それとも、「自分が興味あることを勉強すれば良いか?」という二択で悩んでいるセラピストは多い。

キャリアデザインという観点で考えれば、「自分が興味あることを勉強すること」が重要である。

もちろん、セラピストとしての基礎的な知識が欠如している状態では、基礎的なことを学ぶ必要がある。

しかし、一定の基礎的なことが学習できているセラピストは、次のステップとして「興味があることをとことん勉強すること」が、キャリアデザインの上では有用である。

興味がある分野の学習は、継続しやすく、取り組めば取り組むほど知識や経験が増え、もっと様々なことを知りたいという欲求に駆られる。

好きなことにとことん取り組めば、新しい壁が現れる。

しかし、その壁は好きなことの延長線上にある壁なので、その壁を超えることはあまり苦にはならない。 090750 例えば、次ような事例がそれに当てはまる。

脳科学に興味を抱き、脳科学の勉強を行う→
脳科学の知識を臨床応用するために、運動療法や認知課題の評価や治療の開発に取り組む→
慢性期の脳卒中への脳科学の応用に興味が生まれ、在宅分野に転身する→
訪問リハビリテーションに取り組むようになり、在宅の環境と機能回復の在り方を考えるようになる→
環境設定が重要であることに気づき、福祉用具と心身機能の関係を考えるようになる

このように、たった一つに力を注ぐことで、他の分野に応用できる力がついてくる。

様々なことを中途半端に行うよりも、一点に集中することにより、関連する分野の知見も増幅されていくことが、一点突破・全面展開である。

興味のなかった分野でさえ、一転突破・全面展開することで、興味のある分野に変わる。

キャリアに行き詰まっているセラピストは、まずは、一転突破できる分野を考えてみてはいかがだろうか?

 

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授